木村タカヒロ日記 バックナンバー
日時 | タイトル | 配信数 |
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2018/06/12(火) 09:30 | 【木村タカヒロ日記】Vol. 102 ナンシー関さん | 82 |
2018年6月12日
おはようございます。木村タカヒロです。
今日は消しゴム版画家でコラムニストの
ナンシー関さんの命日なので、
ナンシーさんのことを書きます。
僕は、今も親しくさせてもらっている
出版社時代の編集者の先輩(男性)を介して
ナンシーさんと知り合いました。
その先輩はナンシーさんととても仲良しで、
ナンシーさんや出版業界の人たちとの
飲み会やボーリングやカラオケに、
いつも僕を誘ってくれました。
僕はおまけみたいに先輩の後に
くっついてる感じだったので、
一対一でナンシーさんと話をするのは、
畏れ多いというか、気恥ずかしいというか、
ちょっと、無理でした。
ナンシーさんの本はぜんぶ読んでいたので、
ファンだったこともあり、
緊張していたのかもしれません。
僕が会社をやめてフリーランスとなり、
展覧会をやるようなると、
先輩やナンシーさんも、
夜遊び仲間たちと一緒に
来てくれるようになりました。
もちろん、僕はナンシーさんに
絵の感想など聞けないし、
ナンシーさんも絵については
なにも言いませんでした。
後日先輩から
「ナンシーさん、木村の絵、
すげえかっこいいって何度も言ってたよ」
と聞いたときは、天にも昇る気持ちでした。
青山のギャラリーで個展をやったときは、
最終日の終了間際にお一人で
息を切らせながら駆けつけてくださり、
何点か作品を購入してくれました。
ナンシーさんは「あ、あの、これ……」、
僕のほうも「あ、いや、すみません……」
というかんじで、
全然会話になりませんでしたが笑。
シャイで優しいひとでした。
創作活動10年の集大成で
渋谷パルコの個展が決まったときに、
パルコ側から著名人の推薦文を
入れてほしいと言われたので、
ナンシーさんにお願いしたく、
ものすごく緊張しながら、
はじめて先輩を通り越して、
直接ナンシーさんに電話をしました。
「あ、あの、あの」
なんてしどろもどろになりながら、
推薦文のことを切り出しました。
するとナンシーさんも
「いや、いや、私なんか、私なんか」
と困った様子。
「絵にも詳しくないし」と仰るので、
「あ、いや、絵のことじゃなくてもいいので、
カラオケのことでもいいので」と言うと、
突然「あ、わかった。それなら書けます」
と快諾してくれました。
そうして、超多忙のなか、書いてくれました。
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■木村タカヒロとは
木村さんと知り合ったのは、まだ木村さんが出版社でデザイナーをしていた頃でかれこれ10年以上前になる。
今考えれば、木村さんは多少痩せすぎではあったが普通の健康な青年であった。
しかし私は、どうも木村さんの顔色の青白さやこめかみや首筋に浮かぶ血管が気になり、
漠然とではあるが「胸を病んでいるに違いない」というイメージを会うたびに強めたのである。
夜遅くまでお酒を飲んだり、朝までカラオケで歌ったりしても全然元気なのに、だ。
ある日気がついた。木村さんは山本学に似ているのであった。だからだ。
だからいくら健康なところを見せられても健康とは思えなかったのである。
不思議なことに、そう気付いてからは木村さんの胸の具合が気にならなくなった。
いや、同じ頃に木村さんの作品を見たから、という方が大きいかもしれない。
木村さんの作品は極めて非山本学的である。
山本学がしらすおろしだとすれば木村作品はジャンバラヤ、
山本学が養命酒なら木村作品はメチル、くらいの感じである。
相変わらず、木村さん本人は山本学似であるが。
(ナンシー関)
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ナンシーさんが亡くなってから、
僕は人の評価をまったく気にしなくなりました。
あ、まったくは嘘だな。
たまに評価されたいと思ってしまうな。
でもすぐに、
ナンシーさんにかっこいいと
言ってもらえたからいいや、それで十分!
と思い直します。
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■木村セレクト今日の一曲☆
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『Missing you』John Wait
沁みる。
今日も良い一日を!
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