木村タカヒロ日記 バックナンバー
日時 | タイトル | 配信数 |
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2020/05/04(月) 14:00 | 【木村タカヒロ日記】Vol. 793 好きな写真 | 144 |
2020年5月4日
こんにちは。木村タカヒロです。
今日もとくに書くことないので、
アーカイブから。
何かに提出したやつかな?
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私の好きな写真 Brett Walker タイトル不明
私はこれまで、人間の顔をテーマにコラージュ作品を制作してきました。びりびりに破いた顔のパーツを貼り
合わせ、再構成して独自のフォルムを形成していくスタイルです。出来上がった顔は、歪んでいたり、左右がア
ンバランスであったり、一つのパーツが極端に大きかったりします。そんな顔面作品を見た人からは「怖い」と
か「人間の暗部が現れている」などと感想を持たれます。しかし、私は奇をてらって歪ませているわけではなく、
また、内面を描き出したい、という欲求もありません。自分にとって、しっくりいくバランス、美しいと思える
フォルムを探し、繋ぎ合わせた結果として、そのような顔が表出するのです。
このポートレイト写真を見たとき、作者の創作(撮影)時のアプローチが自分と似ているのではないか、と感
じました。被写体の顔には、押し殺した表情の中に様々な情念が入り混じっているようで、引き込まれます。し
かし、作者は、この顔の持ち主の内面性にはフォーカスしていないように思います。また、シャッターチャンス
を伺って被写体を追いかけるようなこともせず、目の前にあるマテリアルを、既にある作者の絶対的な「美の鋳
型」にはめ込む作業を、淡々と、冷静に行っているような気がします。
私が顔面コラージュをする際に、素材となる目や口の持ち主が誰であろうと意に介さないように、この作者に
とって、「なにを撮るか」はあまり重要ではないのかもしれません。撮る対象が何であろうと、スッと立ち位置
を変えてアングルを調整し、被写体のマッス、輪郭線、光など、すべての要素がストンと自分の「美の鋳型」に
収まった瞬間にシャッターを切る。そこに作者の情緒は介在していないのではないか。
被写体におもねることなく、内面をえぐってやろう、という高慢さもない、ストイックに独自の造形美を選び
取り、いわばモノとして撮影した人間の顔の中に、それでも、どうしても、モノでは収まりきれない生きた人間
の情感が、鋳型からはみ出し、こぼれ落ちてきます。私はそこにとても惹かれます。
もしかしたら、それは、収まりきらずにこぼれ落ちた情感というより、作者が用意した美しい鋳型に収まった
が故に表出してきた情感なのかもしれません。
「シャッターを押す」という単純な動作の向こう側にあるリアル。奥深くて複雑です。
そのシンプルさと真実性において、自分の絵はこのポートレイト作品に太刀打ちできないと思いました。
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良い一日を!
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